贅肉と基礎代謝の関係
基礎代謝をアップして贅肉を撃退
ダイエット経験がある方なら、一度は「基礎代謝」という言葉を聞いたことがあるでしょう。効率よく贅肉を撃退するためには基礎代謝のアップが欠かせません。基礎代謝の基本、基礎代謝が低い人の共通点、そして贅肉との関係を探っていきましょう。
基礎代謝とは?
カロリー消費には運動が必要」と考えがちですが、じつは何もせず寝ているときでもエネルギーを使っています。適切な体温を保持したり、体内の臓器を動かしたりするにもカロリーは欠かせません。こうした、生きるために必要な最低限のエネルギー消費を「基礎代謝」と言います。
1日に消費するエネルギーの6~7割は基礎代謝。この基礎代謝量が多ければ消費カロリーも増え、贅肉は燃えやすくなるでしょう。特に筋肉はエネルギーを使うため、同じ体重の人でも筋肉量が多いほうが基礎代謝量は多くなります。
基礎代謝の計算方法
基礎代謝量の計算式として有名なのは、以下の2種類です。
・ハリス・ベネディクト計算式
男性 13.397×体重kg+4.799×身長cm-5.677×年齢+88.362
女性 9.247×体重kg+3.098×身長cm−4.33×年齢+447.593
・キャッチ・マカードル計算式
370+21.6×除脂肪体重kg
ハリス・ベネディクト計算式は身長、体重、年齢だけで手軽に算出できます。ただしキャッチ・マカードル計算式のほうが体脂肪率も考慮されるぶん、より正確な数値が期待できるでしょう。
基礎代謝が低い人の共通点
冷え性や低体温の人は、基礎代謝が低い傾向にあります。体温が下がると免疫力も低下してしまうため、風邪を引きやすくなることも。
運動不足もまた基礎代謝を下げる原因です。上述のとおり基礎代謝量が大きいのは筋肉なので、筋肉が減ると基礎代謝量は下がってしまいます。同様に、体脂肪率が高い人もエネルギーの消費量は下がるでしょう。
基礎代謝の低下と贅肉がつくメカニズム
基礎代謝は年齢とともに低下していくもの。若い頃より痩せにくくなったと感じるのは、基礎代謝量が下がってカロリーを消費できなくなっているせいかもしれません。
消費しきれなかった余分なカロリーは脂肪となって体に蓄えられます。「若い頃と変わらない食生活を送っているのに太った」という方はこれが原因。贅肉のつきにくい体にするには、年齢とともに下がっていく基礎代謝量を減らさないよう意識することが大切です。
年齢別 基礎代謝量の目安
年齢 |
男性の基礎代謝量 (1日あたり) |
女性の基礎代謝量 (1日あたり) |
---|---|---|
1~ 2歳 | 710kcal | 660kcal |
3~ 5歳 | 890kcal | 850kcal |
6~ 7歳 | 980kcal | 920kcal |
8~ 9歳 | 1,120kcal | 1,040kcal |
10~11歳 | 1,330kcal | 1,200kcal |
12~14歳 | 1,490kcal | 1,360kcal |
15~17歳 | 1,580kcal | 1,280kcal |
18~29歳 | 1,510kcal | 1,120kcal |
30~49歳 | 1,530kcal | 1,150kcal |
50~69歳 | 1,400kcal | 1,110kcal |
70歳 以上 | 1,280kcal | 1,010kcal |
20代の平均基礎代謝
仮に50kgの20代女性とした場合、1日あたりの基礎代謝量は1,180kcal。1kgあたりの基礎代謝基準値は23.6kcalなので、これに体重をかけることでだいたいの基礎代謝量を知ることができます。ただしこれは体重だけを考慮したもの。キャッチ・マカードル計算式にあてはめると、体重50kgで体脂肪率10%なら基礎代謝は1,342kcal、体脂肪率30%なら基礎代謝は1,126kcalと開きがあります。
30・40代の平均基礎代謝
30、40代で50kgの女性を想定すると、1日の基礎代謝量は1,085kcal。これは1kgあたりの基礎代謝基準値が21.7kcalに減るためです。20代の基礎代謝と比べて100kcal近くも減っていることが分かるでしょう。つまり20代と同じ食事を摂っていても、1日100kcalずつ余分なカロリーが蓄えられることになります。
年齢による体型変化について知る
年齢とともに基礎代謝量が低下していくだけでなく、同時に体型も変化していきます。20代半ばから皮下脂肪がつきやすい体になり、30代後半になるとさらに下腹部や腰回りの脂肪が増加。40代になると内臓脂肪も増えてしまい、体型の崩れを招きます。詳しくはこちらのページをご覧ください。
食事制限のリスク
「基礎代謝量の低下に合わせて、食べる量も減らせば良い」と考えるかもしれません。もちろん、これまで間食が多かった方や、ジュースで水分補給をしていた方が意識してカロリーを減らすことは効果的です。しかし、摂取カロリーの減らし過ぎには要注意。摂取カロリーが基礎代謝を下回ってしまうと、体は省エネモードに入ります。消費カロリーを減らすことで、脂肪を蓄えようとするのです。こうなると以前より痩せにくい体になってしまいます。
基礎代謝をアップするには
基礎代謝と水分補給
水は体内の生化学反応にとって欠かすことのできない重要なものですが、栄養素の輸送や老廃物の排出、体温調節にも重要な役割を担っています。
人間は就寝中の発汗などで、コップ約1杯分の水分が失われています。水分補給が基礎代謝を向上させるという明確なエビデンスはありませんが、起床時に水分補給することで、血行の流れを良くしたり、老廃物の排出を促進することで、基礎代謝にも好影響があると期待されています。
就寝中以外では、入浴時や、夏時期などの発汗も大量の水分が失われているので、意識的に水分補給を行うことが、基礎代謝を向上させることにつながる可能性があります。
食べ物で代謝量を向上させる
体温が1℃上がると、身体の基礎代謝量が13%~15%上昇すると言われています。例えば体温35.0℃の人の基礎代謝量が1000kcalとすると体温が36.0℃になることで、1130kcal~1150kcalに上昇。何もしなくても130kcal~150kcalが余分に消費されるということになります。
実は食べ物で体温を上げ、基礎代謝を向上させることも可能です。身体を温めてくれるもので、効果的なのは、唐辛子、チリペッパーなどに含まれる「カプサイシン」や生姜に含まれる「ショウガオール」、ネギやニンニク、ニラなどに含まれる「硫化アリル」など、身近な食材があります。
また、食事を摂り、体内に取り込んだ栄養素が分解される際、代謝が活発になり、体温が上昇します。この代謝は食事誘発性熱産生/DIT(Diet Induced Thermogenesis)と呼ばれています。
食事誘発性熱産生で消費するエネルギーは栄養素によって異なりますが、朝食はたんぱく質を多く含み、温かいものを採るのが良いでしょう。
平均体温が35℃台の方は、積極的に体温を上げる食材を食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
身体の筋肉量を増やす
ウォーキングや筋力トレーニングで筋肉量を増やすことで、基礎代謝量をアップさせることができます。ただし闇雲に鍛えても、思ったほどの効果が現れないことがあります。
筋肉を鍛える際は「大きな筋肉」を鍛えることが大切です。太もも・ふくらはぎ・大胸筋・広背筋・大臀筋などが該当ですが、太ももと大臀筋は全身の筋肉の約半分を占めているので、重点的に鍛えると効果が出やすいでしょう。
有酸素運動による基礎代謝アップ
適度な有酸素運動は基礎代謝アップに有効です。基礎代謝を上げるだけでなく、すでについている脂肪を燃やす効果も期待できます。おすすめはウォーキング。運動習慣がない人でも気軽に始めることができるでしょう。できれば20~30分は歩きたいところですが、難しければ10分のウォーキングを1日2~3回行うだけでも十分です。通勤や外出のついでに取り入れてみてください。
基礎代謝をアップして贅肉を落とす方法
基礎代謝を上げれば贅肉が落ちやすい体質になるだけでなく、そもそも脂肪がつきにくくなるメリットもあります。食事面の工夫はもちろん、基礎代謝を上げるためには筋肉量を増やすことも重要。ウォーキングやジョギング、簡単な筋トレを日常生活に取り入れてみてください。
よく噛んで食べる、じっくり入浴するなど、生活習慣を少し意識するだけでも基礎代謝を上げることは可能です。年齢とともに下がってしまうエネルギー消費を見過ごさず、効率的に贅肉を落としましょう。